あの夏の坂道。

駅メモのこととか旅行のこととかを、仕事してるフリをして書いています。

マスターオブ高知を目指す旅④ 予土線編

2020年、二日目の朝です。おはようございます。

結局、元日の夜からちょっと飲み過ぎてしまったせいで、朝寝坊をしてしまいました。起きたのは8時前ですが、事前に作っていた予定表を見ると「6時半起床」と書いていました。はなから無理な話だったんだよ。

というわけで、朝食もそこそこにササっと準備を整える。今日は高知県内の予土線の駅を全て取得するのだ。
本当ならきちんと列車に乗って行きたいんだけど、事前にちょっと調べた感じ、あまりにも運行本数が少なく、また僕の実家からは結局鉄道駅まで車で行かなければならないため、今回は車を使って回ることにした。

 
予土線の駅は各駅前に駐車スペースがあるらしいということも調べていたので、そこに車を止めて駅名標や周辺の様子を写真に収められたらな、と思う。

予土線は、高知県高岡郡四万十町愛媛県宇和島市を結ぶ鉄道だ。駅メモの路線情報では全22駅で、その内高知県内の駅は

窪川
・若井
・家地川
・打井川
土佐大正
・土佐昭和
・十川
・半家
・江川崎
・西ヶ方

以上の10駅となる。窪川高知県側の駅で、西ヶ方が愛媛県との県境にある駅だ。
幸い、予土線に沿うように大きめの道路が通っているようなので、今回は土佐清水から中村駅のそばを経由し、一度西ヶ方駅まで行ってから線路沿いの道を窪川の方に進んでいく。
地図で記すとこんな感じだ。

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なかなかの距離だ。少なくとも「ちょっと出かけてくるねー」って距離ではない。しかも本来は土佐清水から西の方に国道321号線を進み、一旦宿毛を経由して宿毛線を取得してから西ヶ方に向かう予定だった。流石にちょっと無茶だ。それに気づいて、31日のおつかいついでに宿毛線をコンプリートしておいたんだけど、本当に良かったと思う。

今回は窪川駅以外の駅を全て集めようと思う。窪川駅は後日高知市内へと向かう列車でアクセスできるので、せっかくなら列車からゲットしようと思ったのだ。

本来の予定よりも40分ほど遅れて家を出た。まずは走りなれた道を行き、中村駅前のローソンで補給と休憩をした。この先に通る道沿いに道の駅があるのはわかっていたが、時間が押していて寄れなかったりした場合のために、サンドイッチを買った。
…のだが、緊急時の食糧として買ったのに、ローソンの駐車場で行程を確認している最中に自然に食べてしまった。朝寝坊をしてまともに朝食をとらなかったせいで、小腹が空いていたのかもしれない。それにしても、マジでナチュラルに食べてしまって、食べ終わったあとで「緊急時の食糧だったのに…」と気づいた。
僕はよくツイートで会社の会長のボケっぷりをネタにしているが、案外僕の頭も進んでしまっているのかもしれない。今度テストしてみよう…。
あと、ローソンのアルバイトの女の子がすごく可愛かった。二人いたんだけど二人とも愛想も良くって可愛かった。癒しだ。

さて、いよいよ西ヶ方駅に向けて出発する。
「最後の清流」と呼ばれたりもする四万十川沿いを、上流に向かって走る。中村駅周辺にはまだ土佐清水に住んでいたころによく来ていたけど、この辺を流れる四万十川は河口のエリアで、もうほぼ海のようなエリアだ。そこから徐々に「THE・川」という景色に変わっていく。

しばらく走ると、お正月休み中ではあったがちょっと休憩できそうなドライブインをみつけた。その脇に河原へと降りる道があったので降りていくと…

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四万十川だ!やはり水がすっげ――――綺麗だ。
最近は同じく高知県仁淀川が水質日本一に選ばれ、「仁淀ブルー」なんて言われてちょっと陰に隠れがちだけど、やはり四万十川も驚くほど綺麗だ。

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ズームにしまくったせいで画質が荒れ気味だが、下流の方には「沈下橋」という橋も見える。四万十川にはこの沈下橋がいくつもかかっていて、沈下橋を含む四万十川流域の流通・往来通じて生じた景観が、国の重要文化的景観として選定されているらしい。
屋形船も運行していて、割と観光客らしき人達が乗っていた。夏場なんかは最高に気持ちが良さそうだ。

車に戻り少し先に進むと、沈下橋まで歩いていける場所があった。

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コレだ。そりゃなんたら的景観にも選ばれるだろう。道の駅すくもの裏にあった港の堤防に負けず劣らず、絶対に真夏に若い女の子を立たせたら映えるスポットだ。一色紗英がポカリのCMをやっていそう。瞳そらさないで

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この沈下橋、今も車が通っている。というか僕も車で通ったことがある。
土佐清水市には自動車教習所がなく、僕は中村市(現在は四万十市)まで免許取得のために通っていた。その路上教習で、この道を走らされるのである。
教官が「待て、まだ待てよ………よし、来てないよな…?いけ!!」って感じで、万が一にも対向車が来ないタイミングで進むように指示してくれる。僕もめちゃめちゃ怖がって運転していたが、教官だって怖かったんだと思う。

この撮影をした時も車が当たり前のように通った。地元の人は慣れたもので、臆することなく橋を渡っていく。こんなの、この辺に住んでいる人にとっては当たり前の普通の道なんだろう。

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沈下橋の上から見た四万十川雄大だ。そして本当にこの透き通るような水の綺麗さにやはり驚く。綺麗すぎてあんまり深く見えないけど、多分結構深い。

高知県に住んでいた時は、こういったことにあまり関心がなかった。そんなものよりも、キラキラとネオン輝く都会に憧れたものだ。しかし、この歳なったからか、それとも長く地元を離れていたからか。自然あふれる雄大な景色に見とれてしまう。そしてやはり、懐かしさがこみあげてくる。いやあ、いいもんですね、田舎って。

 

四万十川があまりにも綺麗すぎて、ちょっと思っていたよりも時間が押している。早く西ヶ方駅に向かうことにしよう。

沈下橋なんかの写真を撮った辺りまでは、わりと広めの道路で観光客や子供を連れて帰省したらしき家族連れもいて、車もそれなりに走っていた。
しかし、本格的に西ヶ方駅に向かう道になってくると、状況は一変する。

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車一台がそろりそろりと走るような道だ。もちろん一方通行ではないので、そう頻度が多いわけではないが対向車は来る。その場合はどちらかがバックしてすれ違えるスペースのあるところまで戻らなければいけない。恐ろしい。
僕も何度か対向車と鉢合わせたが、僕の運転スキルのなさを瞬時に見破られたようで全て相手側がバックしてくれた。
流石に毎回はなんか悪い気がして、僕もバックしようとギアをバックに入れて少し下がるんだけど、その時にはもう相手の車はすれ違える位置まで戻っている。やはり、この辺に住んでいる人には当たり前の、普通の道路なんだろう。
僕は申し訳なさ過ぎて、「この道路もレインボーブリッジも同じ道路なんだよな」とか考えていた。意味が分からない。

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こんな風な、「過去に惨劇が起こって地図から消えた村」みたいな場所を走り…

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「ウソやんけ!」と思わず看板にツッコミを入れたりしながら進む。歩行者一人も見なかったわ。そしてついに西ヶ方駅に到着した。

11:35 西ヶ方駅

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ここが予土線の、高知県愛媛県の県境に位置する西ヶ方駅だ。
駅の周囲には民家があり、話し声やテレビの音なんかも漏れ聞こえてくる。山奥の駅という感じではあるが、道中の地図から消えた村感は全く感じない。しっかりと人の暮らしを感じた。

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時刻表はこんな感じ。流石の貫禄だ。確実に車で来て正解だった。

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駅の裏手には、なんかプールのようなものがあった。辺りに学校らしきものは見当たらなかったし、何かの生簀のようなものなんだろうか。気になるが調べてみてもわからなかった。

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というわけで、西ヶ方駅にチェックイン!
ここから一旦来た道を戻り、窪川方面に向かって予土線高知県内の駅を全てゲットしていくことになる。

四万十川の支流・広見川沿いに車を走らせ、一旦国道から橋を渡って広見川を越えた先に江川崎駅はある。

11:55 江川崎駅

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西ヶ方駅とは違い、駅舎がある。観光案内所もあるようだったが、この日は営業していないようだった。

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乗り場もふたつあって、現在も利用されているらしかった。そういえば車で走っているとき、道路の経路案内にも「江川崎」と記されているのを度々見かけた。この江川崎駅は高知県内の予土線の中でも比較的利用者の多い駅なのかもしれない。

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江川崎駅にチェックイン!

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ホーム側から駅舎を見ると、なんだか気になるものを発見した。

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「西日本一暑い駅」とある。調べてみると、ここ江川崎駅は2013年7月に当時の日本最高気温である41度を記録した四万十市西土佐地区の最寄り駅なのだそうだ。言われてみると確かに、四万十市が日本最高気温をマークしたというニュースを見た気がする。
しかし現在は埼玉県熊谷市に0.1度抜かれてしまったため、「日本一」ではなく「西日本一」暑い駅としているようだ。

その暑さにあやかり設置された「らぶらぶベンチ」で、らぶらぶなカップルがイチャイチャしながら写真を撮ったりするのだろうか。オイオイオイ、こりゃあその瞬間だけ日本最高気温更新しちゃいそうですなァ!滅びろ。

残念ながら僕は一人旅だったので一緒に座る相手がいなかった。近所の民家から出てきたお婆ちゃんを誘おうかなと一瞬思ったんだけど、見ず知らずの怪しいおっさんが「一緒にらぶらぶベンチに座りませんか」なんて話しかけてきたら間違いなく事案だ。近所の住民の携帯に、未成年ではなくお婆ちゃんを狙うコアなストライクゾーンを持った不審者情報として僕の容姿が配信されてしまう。それだけは避けたいので、声をかけるのはやめておいた。

そんな江川崎駅のらぶらぶベンチだが、真に注目すべきは後ろのポスターに描かれた江川崎駅のキャラクターであろう3体である。

「れっちゃくん」はまだいい。「列車」を舌足らずな感じで発音している感じがなんとも可愛らしい印象を受けるし、デザインもハート型のパーツがまるで羽根のようで天使的な側面すらある。

「すまいる えきちゃん」はどうだろうか。お前はどこの駅なのか。いや、それを言うと「れっちゃくん」もどこの列車なんだよという話になってしまうが。
しかしこのえきちゃんには手足も生えていて、キャラクターとして動かす際には便利そうだし、おそらくポスターに描かれている3体の中ではメインキャラとなるであろうオーラを感じる。

問題は「えかわさき えきちゃん」だ。いくらなんでもそのまんま過ぎないか。名前も「ちゃん」を付けただけだし、見た目も実際の江川崎駅にちょちょっと手を加えれば三次元の世界に完全再現できてしまうレベルでそのまんまだ。
こうなってくると、江川崎駅にはなんとしてもこの「えかわさき えきちゃん」を推してもらいたい。着ぐるみを作ってゆるキャラグランプリとかに出場してほしい。一体どう言う風に中の人が入るのか、考えただけでワクワクが止まらない。一橋しゅんは「えかわさき えきちゃん」を応援しています。

あまりのインパクトに思わず江川崎駅に長居してしまった。どんだけ江川崎駅をいじるんだ。時間も押しているし次の駅に向かう。次の駅は、中学生の頃と比べると明らかに額のM字部分が7ミリは上がった僕には少々酷な名前の駅だが、マスターオブ高知の称号をゲットするためには避けて通るわけにはいかない。少し気は進まないが、車を走らせた。

12:12 半家駅

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一応断っておくけど、僕は少し生え際が気になっているだけで別にハゲていない。何を言われたわけではないけど、一応断っておく。

半家駅は道路よりもかなり高い場所にあって、階段を登るのがちょっと大変だった。

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生え際もあがってきt…それなりに歳をとった僕にはちょっとだけ大変だったが、その分上からの景色は素朴ながらも悪いものではなかった。

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この駅から都会に夢を持って出ていく青年とかいたら、すっげえ絵になるだろうな。新海誠さん、次の作品の舞台は高知県でどうでしょうか。ねえ、晴れるよ!

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頭皮を気にしながら半家駅にチェックイン!ねえ、ハゲるよ!

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ハゲ婦人消防隊。なんとインパクトの強い消防隊であろうか。ちなみに何度でも言うけど、僕は確かに8年ぶりに会った父親の頭髪が衝撃的に薄くなっていることにショックを受けたが、僕自身はまだハゲていない。信じてほしい。お願い。

さあ、新年早々こんな駅に長い時間いると生え際が上がりかねない。さっさと切り上げて次の駅に向かおう。
と、その前にちょっと寄り道だ。次の駅までの道中に「道の駅四万十とおわ」がある。

shimantotowa.com
実はこの道の駅、今回の高知県の駅全制覇の旅を思いついた時点で目をつけていたスポットだった。

12:30頃 道の駅四万十とおわ

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思ってた以上に盛況だ。車がたくさん止まっていた。
「とおわ食堂」というレストランもあるようで、公式サイトでメニューを確認した時点で僕の胃袋は「とおわ塩ラーメン」に決まっていた。ちょうどお昼時だ、とおわ塩ラーメンを待ちかねた僕のお腹はまだかまだかと唸り声を上げていた。

……そう、ちょうどお昼時なのだ。

とおわ食堂は激混みも激混みで、すでに5組以上の待ちが発生していた。出発が遅れたことと、四万十川で随分長い時間寄り道してしまったこと、そして各駅で写真を撮ってツイッターに上げることに思ってた以上に手間取ってしまったせいで、時間はかなり押している。でも、どうしてもとおわ塩ラーメンが食べたい。ええい、時間なんか別に遅くなってしまってもいい!両親に電話して遅くなるわーって言えばいいだけの話だ。僕はとおわ塩ラーメンを食うぞ!!!

って思ったんですが、なんか激混みのレストランに一人で入るのに気後れしてしまって結局とおわ食堂のとおわ塩ラーメンは諦めた。本当に口惜しい…

その代わり、お土産物なんかを売ってる売店のコーナーで窪川名物の豚まんと、高知県民で知らない人は恐らくいないであろう、超有名なゆずジュース「ごっくん馬路村」を買った。

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この豚まん、ジューシーなあんがたっぷり入っていてびっくりするほど食べごたえがある。コンビニの肉まんと同列に考えていたらちょっと意表を突かれるはずだ。
僕は2017年の夏に、大阪名物である551の豚まんを食べてその美味しさとボリュームに驚いた記憶がある。この窪川の豚まんは551の豚まんとはまた違う絶品だ。551の豚まんが「ぎっしりジューシー」だとすると、この窪川豚まんは「じゅわじゅわジューシー」d…ごめんなさい、限界です。食リポが下手すぎる。
しかもなぜ僕は豚まん本体の画像を撮っていないのか。ふたつに割って中身のあんの画像を撮れとまでは言わない。せめてふかふかの豚まん本体を撮っていてほしかった。

そんな豚まんと一緒にいただくドリンクは「ごっくん馬路村」だ。
僕の記憶が間違えていなければ、なんだか全国で人気が出て一時期品薄になったことがあったような気がする。爽やかなはちみつの甘さと柚子の香りが見事に噛み合った、とても美味しいゆずジュースだ。その名の通りごっくんと飲めちゃう大口の瓶なのがまた嬉しい。

この最高のコンビを、道の駅のすぐ前を流れる四万十を眺めながら食べる。

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四万十川を眺めながら食べられるデッキがあるのだ。控えめに言って至高だ。至高のグルメだ。海原なにがしも控えめに「ふっ…」と満足そうな笑顔を浮かべること間違いなしだ。
さらにここから河原の方まで降りていくことができる。

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四万十川の水に触れることができる。冷たくて気持ちいい。
こんなところでバーベキューでもしたら、控えめに言っても究極だ。究極のグルメだ。山岡なにがしを差し置いて栗田なにがしがシャッキリポンと舌の上で踊りかねない。わからない人は各自ググってください。

さて、そんな色々と最高だった道の駅四万十とおわだが、おかげでまたもや随分と時間をロスしてしまった。こんなに長い時間滞在するなら、最初からとおわ食堂で塩ラーメン食べられたんじゃないか問題まで立ち上がってくる。
とはいえ過ぎたことをいつまでも引きずっていても仕方ない、後悔をしている暇があるなら次の駅に進むべきだ。

13:03 十川駅

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f:id:shun_hitotsu:20200108220259j:plainこの駅も階段を登った先にある駅だった。豚まんが思った以上にボリュームがあったため、ちょっとこの階段を登るのがきつかった。しかも駐車スペースが「あれ?ホントにここ停めていいのかな…?」って感じだったので、ササッと撮影を済ますために走る羽目になってなおさらだった。そんなわけであまり撮影ができていない。もう少しゆっくり見たかったな。

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そんなわけでぜえぜえ言いながらも十川駅にチェックイン!


この日も暖かった上に走ってしまったため、暑くなってコートも脱ぐほどだった。車の窓も開けた状態で、次の駅に向かった。

13:14 土佐昭和駅

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この土佐昭和駅、ご覧の通りインパクトのある入口だった。決して鉄道関係に詳しくないとはいえ、僕の中の駅舎の概念をあっさりと斜め上に超えてきた。
さらにびっくりしたのが、このトンネルをくぐった先にあった道だ。

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嘘だろ……。
一瞬絶望しかけたけど安心してほしい、嘘だった。このどう見ても人んちの裏山に続いてそうな道の横に、ホームに上がる道があった。まあ駅の中に人んちの裏山に続いてそうな道があるのも十分驚きなのではあるけども。

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この駅は入り口のすぐ前まで車で入ることができたから、さほど徒歩で長い階段や坂道を歩くことはなかったが、やはり道路よりは少し高い位置にある。
そして予土線はやはり山の中を走っているのでトンネルが多いようだ。駅の直ぐ側にもこうしてトンネルがある。ここから列車が出てくる姿は、絵になるだろうなあと思った。

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土佐昭和駅にチェックイン!これで高知県内の予土線の駅を半分ゲットしたことになる。時間は押しているが、この調子でガンガン行こう。

13:39 土佐大正

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今までで一番立派で、かつ味のある駅舎だ。歴史にも大正時代にも詳しくないけど、なんだか大正時代を感じるような気がする。

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駅舎の中もなんだか懐かしさを感じる。土佐大正駅周辺の情報を中心とした見どころ情報なんかが掲示されていた。いつかまた時間があるときに訪れて、この情報を参考に巡ってみたいと思った。

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そしてこの攻略旅で初めて予土線の車両と遭遇した。これまたレトロで味のある車両だ。意外と言っては失礼だが、結構人が乗っていた。そして「しまんトロッコ」と書いてる。
なんだろうと思って調べてみると、やはりこの車両は観光列車「しまんトロッコ」の車両らしい。
「いやいや!トロッコ要素ないじゃん!!」というツッコミが聞こえてくるが、残念ながらトロッコ列車はいつでも運行しているわけではなく、土日祝日など特定の日に運行しているようだ。この車両はそのときにトロッコ車両を牽引しているが、普段はこうして通常の車両としても運行しているようだった。

予土線は素朴ながらも四万十川を中心としてなかなかの絶景を眺めながら走る列車なので、この「しまんトロッコ」もきっと素敵な観光列車なんだろうと思う。気になった方は以下のリンクから調べてみてほしい。

観光列車<しまんトロッコ> - JR四国 | おすすめ列車/イベント情報 | JR四国

さてこの土佐大正駅、今まで巡ってきた予土線の駅の中では駅周辺が比較的栄えているように思えた。商店街も近くにあり、オープンしている商店もたくさん見かけたし、街を歩いている人も何人も見かけた。
そして、駅前にはこんなものがあった。

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地元の小学生が作ったと思われる作品が展示されていて、その隣にはこの駅のある四万十町大正エリアを「なんとかしょう」(なんとかしようの意。高知の方言だと思います)というテーマに沿って、町の人々が思い思いになんとかする方法なんかを書いていた。

僕は同じ高知県の西側出身とはいえ、正直この大正エリアには縁もゆかりもない。だけど、この町が好きでこの町で生きていくと決めた人たちの強い気持ちと町への愛を感じて、なんだかぐっと来てしまった。そうだよな、地元住民が愛していない町を外から入ってきた人が気に入ってくれるわけがないもんな。
だから、きっとこの町はもっと時間をかけて散策すればきっと気に入ることができるはずだ。いや、この町だけじゃなく、きっとどんな小さな田舎の町でも、そこを愛して住んでいる人がいるんだな。そんなことをわかりやすく感じられる素敵な町だった。

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そんな地元住人に愛される町にある駅、土佐大正駅にチェックイン!

ちょっとしんみりしちゃってまたタイムロスしてしまった。先を急がなければ!

13:55頃 熊野神社

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だからよお。先を急がなければって言ってんのに何すぐ寄り道してんだ僕は。究極のマイペース人間か。

だけどちょっと待ってほしい。前回の記事をにも書いたけど、僕は初詣でおみくじを引きそこねてしまっていた。初詣ではおみくじを引いて、良い結果だったのなら喜び新しい一年に希望を抱き、良くない結果だったとしてもそれを胸に刻み気を引き締めるべきなのだ。その機会を逃してしまっていた。そんなときに唐突に立派な神社が現れたのだ。これはもう参拝しておみくじを引くべきというお告げなのだ。

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静かだけれど、キレイで立派な神社だ。他にも数人の参拝客がいた。そして本殿の傍らにおみくじマシーンがあった。100円玉を入れるとおみくじがひとつ出てくる。
ちょっとドキドキだ。万が一凶でも出ようものなら、恐らく僕はこのあと無事帰宅することはできないだろう。ひょんなことから四万十川に転落してしまい、謎の巨大魚に食われてしまうに違いない。きっと僕が転落したその場所は「しゅんなげ河原」とか名付けられて、M字ハゲの男の霊が出る大正エリア屈指の心霊スポットとして語り継がれていくのだ。

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っしゃあ!!!!大吉じゃボケ!!なーーーにが巨大魚だ、ペロッと平らげてくれるわ。塩焼きか煮付けか好きな方を選びな!
大吉なんて引いたの何年ぶりだろうか。単純なもので、こうなるとなんだか今年はきっといいことがあるような気がしてくる。具体的には言わないが、M字部分にもなにかいいことが生えてくるはずだ。

いや、まずはこの予土線攻略が無事に終わらせるべきだ。さすがにもう寄り道は禁止。先に進もう。

14:09 打井川駅

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やはり階段を登った先にホームがある。四万十川がキレイに見下ろせる駅だった。だったというのに写真を撮っていない。多分、この辺でまじで時間遅れちゃってることに焦り始めたんだと思う。

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ホームへと続く階段にもあったんだけど、ここからそう遠くない場所に「海洋堂ホビー館四万十」という世界的に有名なフィギュアメーカー海洋堂ミュージアムがある。
廃校となった小学校を改装して作られたもので、僕も過去に行ったことがあるのだが結構ガチめな山奥にあったと記憶している。
正直に言うと、ここを目的に高知県に訪れるほどのコンテンツとは言えないと思う。でも、アニメなんかのサブカルチャーに興味のある方が高知県の四万十エリアに訪れた際にはぜひともおすすめしたい。昔懐かしい作品から最近の作品まで、色んなフィギュアなどが展示されているので、親子で訪れても楽しめると思う。
ああ、そういえば、ミュージアムが自ら謳っているように本当にめちゃめちゃ辺鄙なところに唐突に現れるので、なんだか山奥の秘密基地みたいでワクワクしたなあ。

ksmv.jp

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井川駅にチェックイン!
トイレが古いけどキレイに手入れされていて、お正月の飾りもされていたのが印象的だった。地元の人に大切にされてるんだろうな。

ここから次の駅までは、少しだけ時間がかかるようだ。先を急ごう。

14:24 家地川

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駅の前の通りがそのままシームレスに民家に繋がっているような駅だった。姉弟らしき子供たちが家の前で遊んでいたんだけど、見知らぬおっさんがウロウロしているのを怪しげな目で見ていた。へへ、こりゃまいったね。早々に退散しますんで通報はやめといてくださいよ。

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トンネルが近いんよ。
この駅はメインの道路から脇道に入って暫く走った先にある。その道中にチラッと立派な取水堰が見えたんだけど、やはりここから近いようで案内板みたいなのがあった。見たかったんだけど、流石にもう寄り道できる時間じゃないし、ここからメインの道路まで来た道をわりと戻らなきゃいけない。残念ながら諦めることにした。

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家地川駅にも無事チェックイン!

さて、ここまできて残るはあと2駅、「若井駅」と「窪川駅」だ。
しかしこの内「窪川駅」は、この記事冒頭でも言ったとおり明日高知市内へと向かうために乗る列車、土佐くろしお鉄道中村線とJR土讃線で通る駅なのだ。また、「窪川まぜ」というでんこのモデルとなった駅でもある。
ということで、せっかくならきちんと列車に乗って、まぜと一緒にチェックインしたいと思う。つまり今回の攻略ツアーは次の若井駅で最後だ!さあ、最後の駅に向かおう!

14:46 若井駅

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若井駅は土佐くろしお鉄道の駅でもあるため、駅名標のデザインが変わったようだ。そういえば中村駅駅名標はこんなだった記憶がある。

さてこの若井駅、すごくホームまでの道が分かりづらい。

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車を停めた場所から、ちょっと遠くにホームが見える。どうやって行くのかな、と横に目をやると…

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こんな道がある。ははーん、これは土佐昭和駅と同じような構成の駅だな?こちとら経験済みよ。他人の竹林に繋がりそうな道があっても騙されはしない。

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いやこれは100パーセント人んちの畑だろ。
しかし、ホームの方に続く道があるっちゃある。恐る恐る歩いていくとなんとかホームには辿り着いたが、ホームから見回すと逆側に正解の道があった。わかりづらいんだよもう!!

なんて憤りはしたけど、予土線は僕のようにトイレが近い人間には優しいと思った。多分だけど、今日回った駅すべてにトイレがあったのだ。記述はしてないけど、眠気覚ましにコーヒーとかも飲んでたからすごいペースでおしっこがしたくなっていた僕にとって、それはとっても頼もしいことだった。この若井駅だって

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こんな形になってでもトイレを用意している。非常に頼もしい。

そしてこの本日最後の駅で、この旅2回目の列車との遭遇をした。

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なかなかどうして、特殊属性の攻撃を仕掛けてきそうなカラーリングだ。状態異常を食らいそう。一応身構えた状態で、窪川方面に向かう列車を見送った。

さあ、ようやくこの時が来た。

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本日最後の駅、若井駅にチェックイン!!

いやー長かった。駅メモ上では移動距離が91kmとなっているけど、実際はくねくね道を車で走っているのでもっと長い距離を移動していると思う。さらに、ここから僕の実家まで80kmくらいある。修行かよ。

あーあ、またここからロングドライブかあ。と正直ちょっとうんざりしながら、今度は正しい道を通って車まで歩いていると、列車の音が聞こえた。今度は反対側、窪川の方から特急列車がやってきたのだ。
さきほどの一両編成のものとは違い何両か繋がっていて、デザインも少し新しいように見える。大きな音を立てて、力強く走り去っていくその姿に少しの間だけ見とれてしまった。写真を撮ることはできなかったけど、なんだか強烈に僕の中に焼き付いた。

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特急列車が通り過ぎたあとも、しばらく若井駅を眺めていた。人気のない駅だし、特急だって通り過ぎてしまう駅だけど、なんだか誇らしげにそこに立っているように見えた。
未だに鉄道に対して、鉄道ファンと言えるような興味の持ち方をできてはいないけど、漠然と、少しだけ、列車や駅が好きになったような気がした。

よし、帰ろう。帰って、お風呂に入って、今日の話を両親にしながらお酒を飲もう。僕が高知県内の予土線を巡って感じたワクワクがほんの少しでも伝わるといいな。
車に乗ってナビの画面を見ると、窪川駅もそんなに遠くではないことがわかる。このまま窪川駅に向かって取得すれば、高知県内の予土線の駅をすべて制覇したことになるのだ。
だけど、今はもう少し今日の旅の余韻に浸っていたい気分だった。窪川駅を今取得してしまうと、今日の旅が終わってしまう気がしたのだ。もう少しだけ僕の中で反芻して、明日、列車に乗って窪川駅を取得して、それで予土線高知県内の駅巡りを完結としよう。そんな事を考えながら、家路についた。

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おしっこがしたくなって立ち寄ったコンビニでなんとなくチェックインボタンを押したら、窪川駅を取得してしまった。余韻もなにもあったもんじゃない。あたしって、ほんとバカ。

とにもかくにも、高知県内の予土線の駅はすべて取得できた。今日の駅メモ旅は成功と言えるだろう。
そして、明日は午前中に実家を出て、高知市内で一泊することになっている。つまり今夜が実家で過ごす最後の夜だ。

「今日は、ゆっくりリビングで過ごしてきてください」

部屋で着替えを済ませて、1階のリビングに降りようとした僕にるりがそう言った。え、と思いるりの顔を見る。なんだか明日の午前中には家を出ることに今ひとつ実感が持てなくて、今日も早めに部屋に戻ってるりと過ごす気でいたけど、るりの笑顔はそんな風に考えていた僕の本心を見透かしているようで、それでいて優しかった。

ああ、そうか。実感が持てなかったんじゃない。わざと考えないようにしてただけなんだな。まったく、ホントにいい歳して子供みたいなことしちゃうんだよな、僕は。

「ありがとう。それじゃ、またあとでね」


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道の駅四万十とおわで買ったゆずチューハイを、両親と一緒に飲んだ。ゆず系のチューハイにありがちなはちみつが効いた感じではなく、甘さ控えめでゆずの香りが優しくするとても美味しいお酒だった。こんな美味しいお酒があったんだね、知らなかったと母が言った。

そうだよ!僕も知らなかったんだけど、四万十ってホントにまだまだ知らない素敵な場所やものがいっぱいあってね。例えば今日寄った場所なんだけど…


続く。