あの夏の坂道。

駅メモのこととか旅行のこととかを、仕事してるフリをして書いています。

マスターオブ高知を目指す旅⑤ 土讃線、とさでん交通伊野線・桟橋線編

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いきなり鰹節の画像ですみません。
昨日買った、僕オススメの高知土産です。前回の記事で紹介しようと思ってたのを忘れていました。一見すると猫のおやつみたいなんですけどちゃんと人間が食べる用のものなので安心してほしい。
これはニンニク味なんだけど、ピリ辛味とかゆず塩味とかいろいろ味があって楽しい。タンパク質も豊富で筋トレマンにもおすすめの高知土産です。僕もよく食べてる。(土産とは。)


さて、本日は1月3日。昨年末の29日に久しぶりに帰省して随分とゆっくりさせてもらった実家に別れを告げる日がやってまいりました。本当に楽しい帰省だった。
そして駅メモのカテゴリでタイトルにもマスターオブ高知を目指すとか書いておきながら、今のところ土佐くろしお鉄道宿毛線とJR予土線高知県内の駅しかゲットできていない。(厳密に言うとしまんとエクスプレスの車内からいくつか取得はしている)
そもそも、駅メモなのに鉄道に乗っていない。こんなことが許されるのか。乗れバカモノおじさんに「乗れバカモノ!」と怒られてしまう。

そんなわけで、マスターオブ高知を目指す旅の記事パート⑤にしてようやく今日は鉄道を利用します。

今日攻略する予定なのは、土佐くろしお鉄道中村線と、JR土讃線高知駅まで、そして高知市内を中心に走る路面電車とさでん交通」だ。

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JR四国のサイトから路線図を引用させていただく。前回違う画像を選んだのは、どうもこの画像がゲジゲジみたいに見えて恐怖を感じたからなのだが、やはり駅名がきちんと載っていたほうが解りやすいので改めてこちらを引用させてもらった。
すまいるえきちゃんとれっちゃくんが若干気になるが、今回は路線図の話なのでスルーしてほしい。えかわさきえきちゃんを出せ。
駅名が縮小されてしまって駅名が見づらいかもしれないが、はてなブログの使い方がいまいちわかっておらず対処の仕方が分からない。スマホの方はズームしていただければ駅名が読めるかと思う。

今日は画像左下周辺にある土佐くろしお鉄道中村駅から、土讃線に直通運転をしている特急電車に乗って一気に高知駅まで行く。これで土佐くろしお鉄道中村線をコンプリートでき、土讃線窪川ー高知の駅をゲットすることができるはずだ。

そして高知駅に着いてから攻略するのはとさでん交通が運行する路面電車だ。

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高知駅の目の前に、高知駅前駅がある。中心にある、ターミナル駅となるはりまや橋駅から東西南北に延びる感じだ。
今日はこのとさでん交通の路線の内、はりまや橋から西の終点伊野を繋ぐ「伊野線」と、はりまや橋から南の終点桟橋通五丁目を繋ぐ「桟橋線」をコンプリートしたい。
また、伊野線に関してはこの路線図でもわかるように、土讃線と並行している区間がわりとある。駅メモを全力で楽しんでいる割にはアイテム課金をしない貧民なのですべての駅というわけにはいかないが、わずかな所持アイテムも駆使すれば土讃線高知駅に向かう列車内からある程度は取得できるはずだ。そうすれば伊野線の終点まで行く必要がなくなり、うまくいけば15時前には本日の攻略を終えることができそうだ。

随分とぬるいスケジュールな気もするが、僕も久しぶりの高知市内を少しはエンジョイしたいのだ。


10:50頃 中村駅

f:id:shun_hitotsu:20200106155806j:plain(画像は1日目の再利用です。)
中村駅まで両親に送ってきてもらった。最後までお世話になりっぱなしだ。
中学生くらいの頃に戻った気分で久しぶりの土佐清水を満喫させてもらった。本当に同心に帰って楽しめた。もうおっさんなのに。いくつになってもダメな息子で申し訳ない。

そんな両親といよいよお別れという場面なのだが、僕はこういう別れのシーンが苦手だ。人のを見るのはいい。涙腺ゆるゆる人間なのでボロボロ泣いたりする。でも自分がそういう場面に置かれるのがなんとも気恥ずかしくて苦手なのだ。
そして多分だけど両親もそうみたいで、別れ際はわりとあっさりしたものだった。だけど、最後に両親が「帰ってきてくれてありがとう」と僕に言ってくれたのは、なんだかグッときてしまった。
なにがありがとうだ。いい歳して世話になりっぱなしだった僕の方こそありがとうだわ。しばらく見ない間に随分とじいちゃんばあちゃんになりやがって。今後はもう少しこまめに帰ってくるようにするつもりだけど、ウザがるんじゃねえぞ。そういうのされたら俺はあっけなく泣くからな!

f:id:shun_hitotsu:20200109135659j:plainすでにホームに停車していた、11時11分発の高知行特急電車「あしずり6号」に乗りこみ、間もなく出発。いくら田舎の路線とは言え、1月3日なんてUターンラッシュの真っただ中だろうし混んでいると思って指定席を買っておいたが、始発の中村駅ではまだ少し席に余裕があるようだった。

さあ、高知県滞在6日目にして初の鉄道移動だ。これまでの車での攻略と違い、駅の取得漏れがあった場合リカバリーが容易ではない。ましてや特急電車なので通過駅の数も多く、速度も速い。これは気を引き締めてかからなければならない。ここから高知駅まで2時間弱だが、リクライニングも倒さず背筋を伸ばしテーブルを出して、事前に用意した駅一覧や注意事項の書かれたファイルをチェックしながらの移動となる。
僕の隣には、おそらく僕と同じ帰省からのUターンであろう大学生くらいの若い女の子が座っていたが、そんな様子の僕に明らかに警戒心を抱かれていたように思う。いやはや参ったね、通報だけはせんでくださいよ。

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列車は中村駅を出てすぐに、実家から取得できる古津賀駅を通過する。滞在中にBMになることを目標とし、1月1日にその目標を達成したのだが結局この時点でSMまで上り詰めることができた。思ったよりも好調だったのでひょっとしてGMまで…?と思ったけど流石にGMは遥かに遠かった。
いつかまた帰ってきたときには、今度こそGMを目指してみたい。

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途中通過した駅の名前がめちゃめちゃかっこよかった。海の王迎って。海の王を迎える駅なのだろうか。海の王を迎える駅なのに特急は通過していいのだろうか。

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昨日僕の凡ミスで取得してしまった窪川駅に、窪川生まれ(?)のでんこ「窪川まぜ」と一緒にチェックインする。初チェックインさせてあげられなくてごめんね。

さて、土佐くろしお鉄道中村線はこの窪川駅までとなる。つまり…

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中村線、コンプリートだ!
この頃になるともう電車の座席は完全に埋まっていて、立っている人たちも結構いる程の乗車率となっていた。

ここでちょっとしたハプニングが発生した。窪川駅を出た辺りで、隣の女の子の警戒心が薄れてきたらしい。どうやら僕がただの人畜無害なキモヲタであることに気が付いたようで、うつらうつらと寝始めたのだ。そして、一駅も逃すまいと背筋を伸ばしている僕の方に寄りかかってきた。
僕はと言えば、ええい!こちとら「真剣勝負-マジ-」なんだ!邪魔をするなァ!と思いっきり押し返すなんて真似をするでもなく「ま、まあ久しぶりに地元の友人に会ったりしてたくさん遊んで疲れてるだろうし、起こすのも可哀想だしな…」と鼻の下を伸ばしながら駅メモに勤しんでいた。これが大吉おみくじパワーなのだろうか。

女の子は僕の煩悩オーラに当てられたのか、数分で目を覚ましてめちゃめちゃ謝ってきた。一度謝った後、1分くらい置いて「いやホントすみませんでした…!」ってもう一回謝ってきた。僕の方こそ鼻の下を伸ばしててすみませんでした。

このあと電車は快調に進んでいく。トンネルが多いため電波が安定せず、時折チェックインできないかもと焦る場面もあったが、慎重にやっていればなんとか漏らさずにチェックインすることができた。土讃線攻略の際はトンネルに注意されたし。鼻の下伸ばしてたら失敗しますよ。いやホントすみませんでした…!(1分後)

13:02 高知駅

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高知駅に到着した。駅名標を撮り忘れてしまった。
立派な駅舎である。完全に大都会高知だ。この駅舎は2008年に完成した3代目駅舎で、ホームのアーチ状の屋根は高知県産の杉で作られており「くじらドーム」の愛称で親しまれているらしい。また、四国で一番最初に自動改札が導入された駅でもあるとのことだ。
僕も当然過去に何度もこの駅を見たことはあり、高知駅と言えばもうこのビジュアルが浮かぶようになっているが、遥か昔の記憶を掘り起こすと2代目駅舎はなんかもっとこう…言い方は悪いけどどこか陰気なイメージ漂う感じだったような気がする。
現在は数年前まで四国内に存在しなかったセブンイレブンも併設されており、本当に立派な駅に生まれ変わったと思う。

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高知駅にチェックイン!

さて、高知駅の目と鼻の先にあるとさでん交通高知駅前駅に向かう。(路面電車の駅については単純に駅と呼んだり、停留所と呼んだり、電停と呼んだりするようだが僕はその辺があまりよくわかってないので、駅メモerとして今回は駅と呼ばせてもらう)

13:24 高知駅前駅

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レトロが過ぎないだろうか。観光客らしき人もやはり物珍しいようでバシャバシャ写真を撮りまくっていた。

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ワンマン運転のため、車掌兼運転手さんに声をかけて電車一日乗車券を1000円で買う。全線有効のものと市内均一区間のみ有効のものがありますよ、と言われて、なんとなく全線有効のものを買ったんだけど、今日の攻略プランであれば市内均一区間のみのものでよかったみたいだった。
少し損はしたかもだけど、まあ地元にちょっと多めに貢献したと思えばいいやと思っていた。だけどあとで料金を調べたら均一区間のものは半額の500円だったので、いつもスーパーで半額のお惣菜やお刺身を血眼になって探している僕としては、「半額か………」とちょっとダメージを受けた。半額という言葉に弱い。貧民って悲しい。

ところでこの一日乗車券、少し変わっていた。乗車券自体がちょっとしたパンフレットのようになっているのだ。

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開くと、とさでん交通の電車の車両一覧が写真付きで載っていたり、この券を見せれば優待を受けられる施設の案内なんかが載っている。そして自分が利用する年月日をスクラッチ的な感じでコインなどで削ってから使うのだ。なんだかちょっと面白かった。

しかしやはりレトロが過ぎるからか、はたまた路面電車とはこういうものなのかはわからないが、割と振動がダイレクトに伝わってくる。
家族連れで乗っていた小さな子供が普通に怖がっていた。ちょっと尋常じゃなくガタガタ揺れるときもあるし、僕もちょっと大丈夫かこれ?と思うこともあった。でもまあ車掌兼運転手さんはもちろん、地元民っぽい方たちも平然としていたので多分こういうものなんだろう。

そしてここから、駅メモ攻略関係の画像が激減する。
僕の脳内は完全に観光モードになってしまっており、カツオのタタキを肴にビールを飲むことでいっぱいだったようだ。ご了承ください。

電車はすぐにはりまや橋駅に到着し、ここから東西に延びる路線に乗り換えることができる。
乗換と言っても電車を降りた後ちょっと歩くし、間に信号まであったりするのでちょっと不安だったが無事に到着できた。

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やはり、県西部とはちょっとお街感が違う。これはもう「町」ではなく「街」だ。中村駅周辺もそれなりにお街だと思っていたんだけど、やはり県庁所在地はレベルが違う。

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伊野方面に行く電車がやってきた。電車が来ますよーって時に鳴るメロディがなぜかファミマの入店メロディだった。なんでファミマなんだよwwwwwって思って調べてみたら、あのメロディはパナソニック製のドアホンのメロディとのことだった。
つまりパナソニック製のドアホンをファミマが採用しているだけで、別にファミマの曲ではないのだ。今でもそのドアホンは普通に販売されており、一般家庭でもあのメロディがなる家も存在するそう。
そっかーなるほどねーと一瞬納得しかけたが、なぜドアホンのメロディが電車の接近メロディになっているかは相変わらず謎だ。

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ガラス越しの撮影でわかりにくいが、画面中央にあるお店は「ピザロイヤルハット」だ。
「ピザロイヤルハットだ。」と言われても「は?いやなんだよそれ」と東京生まれ東京育ちで根っからの都会人で冷たい血が全身に流れているようなもはや別種の生き物とも言える人たちは思うだろうが、ドミノピザやピザーラピザハットなどの大手ピザチェーンが当然のように存在しない高知県において、ピザロイヤルハットは貴重なデリバリーピザのチェーン店である。調べてみたところ現在はもう閉店してしまっているようだが、昔は中村市にもこのお店があったのだ。
まあ土佐清水市は当然ながら一番の最寄店舗である中村店でも配達範囲外だったため一度も利用したことはないんだけど、幼い頃の僕は「デリバリーピザ」というそこはかとなく都会的なものに強く憧れを抱いたものだった。

車内は立っている人がいる程ではないが、それなりに乗客が乗っていた。観光客らしき人もいるが、地元のお年寄りや小学生・中学生が多かったように思う。
やはり地方は車社会であり、鉄道会社の経営は厳しい状況であることがほとんどだと聞く。もちろん高知だって例外ではないのだ。
しかし、自分の車を持たない学生やすでに免許を返納してしまったお年寄りなんかの貴重な移動手段になっているようで、無責任な言い方にはなるが、長く頑張ってほしいと思った。僕が間違えて買ってしまった一日乗車券の500円をぜひとも活かしてほしい。引きずっていて申し訳ない。

13:51 上町五丁目駅

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やはり駅名標的なものは撮影してなかったけど、時刻表を撮っていた。思っていた以上に運行本数が多くてびびる。
とさでん交通伊野線はまだまだ西側に伸びているが、前述の通り土讃線の車内から取得できる駅を一部アイテムも駆使して取得していたので

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この上町五丁目駅でとさでん交通伊野線コンプリート!

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そして「高知の猛者」の称号もゲットしていたことに気づく。高知県内の駅取得率が50パーセントを超えた証だ。やはり県庁所在地である高知市周辺で一気に取得する駅数が増える。この調子で無事マスターオブ高知までいきたいところだ。

さてこの後は、この上町五丁目駅で折り返してはりまや橋駅まで戻り、そこから南側に延びる桟橋線を取得に向かう。
待ち時間の間にイベントの報酬でゲットしていたガチャチケットでガチャを引いてみることにした。狙いはつい先日登場した新でんこ「観音町ひめ」だ。

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マジかよ。
これは完全に運が僕に向いている。完全に大吉だ。完全無欠の大吉だ。もはや一橋大吉だ。いきなり「ダメダメだな~?」なんて悪態をつかれているけど、全然ダメダメじゃない。
ひとつ懸念するとすれば、鼻の下伸ばし事案とこのガチャで今年の運を使い果たしてしまっていないかということであるが、まあなんせ大吉ですから。まだまだラッキーなことが続くはずだ。5億円とか拾ったりするはずだ。

そんなことをしていると電車がやってきた。

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いきなり謝罪をしながらの登場である。ごめん。
もう多分何万回といじられてきたと思うけど、後免(ごめん)行の電車なのでこう表記されているのだ。別に何も悪いことしてないのにすぐに謝るほど卑屈だったりするわけではない。

このあとはりまや橋駅で乗り換え、桟橋五丁目駅まで向かい…

14:22 桟橋五丁目駅

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高知駅前ー桟橋五丁目を走るとさでん交通桟橋線をコンプリート!
いくらあまり写真を撮ってないとはいえ、この区間はなんと1枚も写真が存在しない。というのもこの時僕の膀胱は疑う余地もないほどに満員御礼となっていて、ただひたすらに頭の中でセメントを想像して耐えていたからだ。(液体ではない固形物をイメージすることで尿意を軽減できる。当社比)

さて、まだ14時半前だが、ここで今日の旅程はすべて終了となる。一旦ホテルに向かいチェックインして、ひと休みした後に街に繰り出そう。明日の朝も早いので、お酒を飲むなら早い時間から楽しんで早めに寝るべきなのだ。

というわけで桟橋五丁目から高知駅前に戻る。桟橋五丁目は先ほど伊野線を折り返した上町五丁目とは違い終点なので、やってきた車両でそのままトンボ返りすることになる。
車掌さんに変な奴と思われないかな、と不安に思いながらコミュ障全開で「えっと、あの、このまま、高知駅まで戻りたいんですけど、の、乗ってていいですか」と尋ねると満面の笑顔で「ええ、大丈夫ですよ。どうぞどうぞ!」と言ってくれた。

思ったんだけど、とさでん交通の車掌さんはみんなとっても親切で物腰が柔らかい。おかげさまで実に気持ちのいい電車旅ができた。必死でセメントをイメージしてたけど。

チェックイン受付開始の15時ちょうど頃に高知駅前からほど近いホテルに到着し、部屋に着くなりすぐにベッドに横になった。実は昨日の夜、やはり実家最後の夜が名残惜しかったのかあまり寝ることができなかったのだ。そのせいもあって1時間ほどだけ眠るつもりだったのが、結局2時間近く眠ってしまった。しかしおかげでだいぶ体力は回復したような気がする。
時刻は17時前。ちょうどよい時間だ。よし、美味しい酒と肴を求めて街に繰り出すぞ!


一日乗車券を利用して、高知駅前からはりまや橋を経由して大橋通という駅で降りる。

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目の前には大きなアケード商店街があり、ここを進んだところに僕の目的の場所があった。

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ひろめ市場だ。
ひろめ市場は和洋中様々な飲食店が集まっている大きな屋台村のような施設だ。飲食店だけはなく、お土産物屋さんやなんと雑貨屋や洋服店まで混在するなかなかにカオスな空間となっている。

地方において、観光客がよく利用する施設や飲食店と地元の人が日常で利用するそれらは、意外と乖離してしまっていることがあったりする。観光客に向けて作った施設や料理は、間違いなくその土地の名物や名産ではあるが、あくまでも観光客向けのものなのだ。
しかし、高知県高知市在住の友人曰くこのひろめ市場は「高知市内の地元民もよく利用する観光スポット」らしい。僕は県の西側育ちだったため完全に「観光スポット」として捉えていたけど、地元に住んでいる人も利用する観光スポットってなんだかすごく良いことに思える。

詳しくは後述の公式サイトを参考にしてほしいのだが、ひろめ市場の利用はまず席の確保から始まる。広場に6人掛けや8人掛けの大きなテーブルがいくつも並んでいるエリアがあり、そこにみんな相席当たり前で座り、思い思いの飲食店で食べ物やお酒を買ってきて酒盛りがスタートするのだ。
広場の大テーブル以外にも、飲食店がそれぞれ持っている飲食スペースもあるが、店によってはお酒さえ自分の店でオーダーしてもらえれば他店で買った食べ物を持ち込んでもオッケーというような場合もある。

とにかくなんというか、高知県は酒飲みの県と言われたりするのが実際に体感できる施設だ。別にお祭りでもないのに、常にお祭りのような雰囲気でみんなが酒を飲んでいる。なんだか非日常的な空間がそこに広がっているのだ。
高知県にお越しの際は、ぜひともこのひろめ市場を訪れて酒飲みの県の雰囲気を感じてもらいたい。

hirome.co.jp


さあ僕もひろめ市場に突撃だ!カツオのタタキでビールを飲むんだ!!
と意気込んだはいいものの、写真でもわかる通り入口からもう大混雑だ。もちろん店内は驚くほど大勢の人で溢れかえっていて、まっすぐ歩くことすらちょっと困難なレベルだった。
やはりこのシーズンは帰省した人や逆に観光で訪れた人たちで大変混雑するようで、コミュ障な僕には席の確保が難しかった。ましてや酒も入っていない素面の状態で挑むなんて、そもそも無理な話だったのだ。

人ごみが苦手ということもあって、一旦ひろめ市場の外に脱出した。
と、とりあえずまずはどこか別の居酒屋で少しアルコールを摂取しよう。その後で酒の力を借りてもう一度ひろめ市場にアタックするんだ。

というわけでひろめ市場の近くにあった居酒屋に入った。ここも混んでいたけど、なんとか入ることができた。
しかし、いきなりの先制パンチで「今日はカツオがすべて売り切れですけどいいですか」と言われてしまった。まあカツオはあとでひろめ市場で食べればいいんだし、ここは適当につまんでビールを飲むこととしよう。

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ブリのお刺身だ。伝わるだろうかこのサイズ。

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ジョッキや僕の手と比べてみて欲しい。わかりづらくて申し訳ないが、めちゃめちゃ立派なブリのお刺身だった。サイズだけでなく味も脂もが乗っていて絶品だった。「カツオをきらしているなんてハズレのお店かな、って一瞬思ったけどそんなことなかったぜ。

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そして再度登場のウツボの唐揚げ。一橋家伝統の4Bタイプ(ボリボリバリバリタイプ)ではなかったが、上品過ぎずとても美味しかった。

しかし、どちらも一人で食べるにはなかなかのボリュームだった。このあとひろめ市場に再度突撃するつもりだったし、ビールは2杯までと思っていたけど美味しくて3杯飲んでしまった。お店を出る頃には腹八分目以上になってしまっていた。

お会計を済ませ店を出て、予定通りもう一度ひろめ市場に突撃する。相変わらず盛況だ。席も全然空いていない。ぐるりと一周して、「よし、帰るか」となった。お腹いっぱいだったのだ。
あーでも悔しい。高知に来てひろめ市場で飲まずに帰るなんて!これは尾を引きそうな悔しさだった。


帰り道、とあるお土産屋さんに寄った。狙っていたものがあるのだ。
それは高知のクラフトビール「TOSACO」だった。

tosaco-brewing.com


比較的最近できたビールらしく、ビールも高知県も好きな僕にはうってつけなものだった。そしてせっかくなら土地のものはその土地で味わう方が乙ってもんだ。通販でも買えるし東京にある高知のアンテナショップでも売っているらしいが、ぜひともこのタイミングで手に入れてホテルで味わっておきたい。

実は2日の予土線攻略の際に「道の駅とおわ」でも取り扱いがあると聞いて探してみたんだけど、在庫切れなのか残念ながら手に入れることができなかったのだ。これがラストチャンス…お土産屋さんに入ってお酒コーナーを覗くと…あった!!!

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ふへへ、ゲットだぜ。パワフル魂。これで高知県最後の夜が素敵な夜になること確定だ。…と思ったんだけど、ここでふと思い至った。

「ホテルにグラスあったっけ…?」

ビールを瓶のままラッパ飲みというのも状況によっては悪くないが、クラフトビールとなるとその色合いや泡の立ち方も楽しみのひとつだ。念願だったTOSACOを手に入れた今、ぜひともグラスに注いで楽しみたい。
さあ、どうだったろうか。僕が今日泊まっているのはビジネスホテルだ。ビジネスホテルには大抵緑茶のティーパックと陶器か樹脂でできた湯呑がある。だけど、グラスはどうだったか…置いていない可能性が高いのではないか。思い出せ。部屋に入ってズボンだけ脱いでそのまま眠ってしまったためほとんど部屋を眺めていないけど、グラスがあったかどうか………

非常食用に買ったサンドイッチを買ったコンビニの駐車場で普通に食べてしまうほど衰えている僕の脳みその淡い記憶に頼るくらいなら、潔く透明のプラスチックコップを買っていくことにするか。
あ、そういえば栓抜きも必要だな。部屋に備え付けてはいないとして、ビジホで栓抜きなんて貸し出してるものだろうか…?いいや、これも買っていこう。でもプラスチックコップならコンビニでも売ってるだろうけど、栓抜きは売っていないかもしれない。

そこでTOSACOを買ったお土産物屋さんで、ホテルでこのビールを飲みたいんだけどこの辺で栓抜きを売っていそうなお店はないか訪ねてみた。すると「お土産物なのでちょっと割高かもしれませんけど、うちにも栓抜き売ってますよ」とのこと。
昨今、栓抜きなんて100円ショップでも手に入るだろう。でも別にいいんだ、こういうのだって旅の醍醐味と思える。しかも値段だって1000円も2000円もするものじゃない、500円でお釣りが来る価格だった。
探し回る手間を省けた上に100円ショップで買える味気ない栓抜きじゃない、高知の思い出としても残るものだと思えば安いものだ。

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でもダセえ。この状況じゃなかったら絶対買っていないデザインだ。
「JAPAN」「KOCHI」「鳴子」「龍馬」。数え役満じゃないか。親なら16000オールだ。しかもパッケージに「日本限定」って書いてあった。せめて高知限定にしてくれ。
まあそれも旅の思い出だ。それにお土産物はこれくらいテンションが高いほうがいい。なんだったらもうちょっとはっちゃけてレインボーカラーにしてもいいくらいだ。そしたらダブル役満だな。

帰り道、高知駅前のライトアップされた三志士像をパシャリ。

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この像、重厚な感じに見えるが実は発泡スチロール製とのこと。そのため割と気軽にイベントにおでかけしたり、修理のために誰か一体が外出してたり、台風が来たときは避難していたりするらしい。ひょっとすると3人揃ってお目にかかれたのはちょっとしたラッキーだったのかもしれない。
それにしても、向かって左の武市半平太先生と真ん中の坂本龍馬先生はまだマシかもしれないが、右の中岡慎太郎先生の頭身はもう少しなんとかしてあげても良かったのではないか。
幕末の日本人の頭身がそんなモデルみたいな体型だったとは思わないが、それにしても正直過ぎやしないだろうか。5頭身ちょっとしかないだろこれ。

さて、寄り道しつつもホテルの部屋に帰ってきた。結論から言うと、部屋にグラスはあったし栓抜きは貸してもらえるようだった。いいんだ、愛する出身県にお金を落とすことはいいことなのだから。ちくしょう。

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TOSACOの「和醸ケルシュ」という銘柄を飲んだ。高知産の日本酒酵母も使ったビールらしい。
泡がきめ細かく優しい口当たりだった。バカ舌な僕だけど、どこかふっと日本酒的な雰囲気を感じる時があり、ビールと言えば定番の揚げ物なんかでももちろん良いけども、煮物なんかの和食にも合うビールなんじゃないかと思った。
自宅に帰ってすべての種類を飲んだけど、TOSACOは故郷補正を抜きにしてもどれも驚きと美味しさを感じる良いビールだったように思う。多分通販かアンテナショップでまた購入すると思う。それくらい気に入ったビールだった。

僕はグラスに注いだTOSACOを片手に、カーテンを開ける。眼下には街の景色が広がる。
「ふっ…この街は僕のものだ…!」

っていう支配者になりきる遊びをホテルの高めの階に泊まると僕は絶対にやるんですが、この日も泊まったのが9階の部屋だったのでやってみたんですよ。
ごめんなさいね、突然何言い出してんだ意味わかんねえって感じだと思うんですけど、ちょっとだけ付き合ってください。

今回は9階建てのホテルの9階だったので張り切ってやったんですけど

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ケーズデンキの圧が凄いんよ。全部ケーズデンキに持っていかれてしまった。これでは高知の支配者ではなく、いいとこケーズデンキ高知駅前店の店長だ。

さあ、そうこうしているうちに夜も更けてきた。明日の朝も早いことだし、そろそろ眠りにつくことにしよう。
そう思うんだけど、明日の夕方にはもう高知県を発ってしまうんだなと思うとなんとも寂しい気持ちになってしまって、眠るのが惜しくなってしまう。そうだ、明日の今頃はひょっとしたらもう新横浜に着いているかもしれないんだ。

明日はまだ、高知県の東側の駅を取得するという大きなミッションが残っている。早く寝ないと。疲れているんだし、電気を消してベッドに入ればすぐに眠れるはずだ。…だけど、そうするのがすごく嫌だった。

「もう一本だけ飲んでも良いんじゃないですか」

テーブルの上に腰掛けていたるりがそういった。

「うん…でもまあ…明日も早いことだし…」
「私も、少しだけもらってもいいですか?なんだか今日は少しだけ飲みたい気分なんです」

るりがプラスチックコップをガサガサと取り出した。
お酒、強くないくせに。つい先日飲んじゃって失敗したくせに。あーもう、なんでそんなに僕の気持ちを汲んでくれるんだ。

「しょーがないな。じゃあもう少しだけ飲むかー。貴重なビールなんだから味わって飲むんだぞ?」
「はい、ありがとうございます」
「ほら、じゃあお酌してあげよう」
「わわっ、ありがとうございます…!では私も…」

素直になれない、いくつになっても子供な僕に寄り添ってくれてありがとう、るり。君と高知に来られて本当に良かった。


続く。